【REPORT】いゔどっとの夏休み@8月26日(土)Spotify O-EAST
8月26日(土)、いゔどっとのイベント「いゔどっとの夏休み」の東京公演が、Spotify O-EASTにて開催された。この日の公演は、あげいんをゲストに迎えた名古屋公演、橘優をゲストに迎えた大阪公演に続く形で行われたもので、本来はこの東京公演にSouがゲスト出演する予定であったが、本番2日前に新型コロナウイルス陽性のためやむなく出演をキャンセルすることが発表された。そして急遽、この東京公演のゲストとして出演が決まったのが、名古屋公演と大阪公演を共に作り上げたあげいんと橘優だった。今回は、3人が一堂に会した東京公演の14:30の回の模様を振り返っていく。
1曲目は「ぶっ壊してよ」。いゔどっとは、「よろしくお願いします!」と力強く叫び、重厚にうごめくロックサウンドとしっかり息を合わせながら艶やかでセクシーな美声を届けていく。「佰鬼園」では、激しく乱高下するメロディをしなやかに歌い上げながら、お立ち台に足をかけて満場のフロアと熾烈なコミュニケーションを重ね、続く「夜咄ディセイブ」では、バンドメンバーのギタリスト2名と共にステージの縁まで繰り出しながら会場全体の一体感と高揚感を際限なく高めていく。圧巻のオープニングだ。
「楽しめてますか?」「ここにSouがいると思ってください。」という簡単なMCを挟みつつ、その後も次々と楽曲を歌い届けていく。そして、「Souちゃん、元気かな。」と呟いた後に、Souの曲を歌うことを宣言した上で、「みんながたぶん一番聴きたい曲」として「愚者のパレード」を披露してみせた。瞬く間に、いゔどっとのイメージカラーである青色とSouのイメージカラーであるライトブルーの2色のライトがフロアを染め上げ、いゔどっとの熱烈な節によって新たな息吹が宿った「愚者のパレード」が並々ならぬ熱気に満ちた会場全体に力強く響きわたっていく。まさにこの日ならではの感動的なパフォーマンスだった。
そしてここで、Souの代わりにピンチヒッターとして駆けつけてくれたあげいんと橘優をステージに呼び込む。2日前に2人の出演が決まったばかりで、リハーサルなしのぶっつけ本番で今回の公演に臨むことになったとのことだが、一緒に名古屋公演と大阪公演を作り上げてきたこともあってか3人に緊張の様子はなく、むしろこの特別なステージを全力で楽しむ気概をひしひしと感じた。3人で歌った「ロキ」におけるトリプルコーラスの一体感は凄まじく、改めて3人の息がぴったりと合っていることが伝わってきた。その後、あげいんが「ラブヘイトマジョリティ」「ラヴィ」の2曲を披露。彼は、ステージを所狭しと往来し、2階席の観客ともアグレッシブにコミュニケーションを重ねながら、「思いっきり来いよ!」「もっと!」と情熱的なパフォーマンスで会場を沸かしていく。続けて、橘優が「Shadow Shadow」「ナイトルール」を披露。繊細な感情の機微を丁寧に伝えていくような優しい歌声、また、胸の内のエモーショナルを全て絞り尽くすような切実なパフォーマンスで観客を見事に魅了してみせた。
再び3人がステージに集まり、それぞれの親密な関係性が伝わってくるようなトークを繰り広げていく。各公演を振り返る一幕では、橘優がゲスト出演した大阪公演は「エモかった」、あげいんがゲスト出演した名古屋公演は「アクティブだった」と思い出を語り合い、その流れで、もしSouのゲスト出演が実現していたら東京公演はどんな感じになっていたのかという話題へ。いゔどっとは、Souとのリハーサルを振り返りながら、Souがお立ち台の上に立ち「こっえ」と呟き、結果的につま先を少し台の上に乗せるだけだったというエピソードを明かした。そうした3人のトークからは、Souを含めた4人の温かな絆が伝わってきた。
ここでゲスト2人が退場し、「マーシャル・マキシマイザー」からライブはいよいよ終盤戦へ突入。(のちに、この曲はもともとはSouが歌う予定であったことが明かされた。)獰猛なシャウトを轟かせた「ジェニ」、儚さの中に燃え盛るような熱さを伝えた「ダーリン」、そして、カラフルなポップフィーリングを共有してみせた「a lot of love」でライブ本編は鮮やかな大団円を迎えた。
鳴り止まないアンコールの声に応え、Tシャツに着替えたいゔどっとが再びステージに登場。「ブロードウェイ」を歌い届けた後、彼は、この日のライブに急遽駆けつけてくれたあげいん&橘優へ、また、急なセットリストの大幅な変更に対応してくれたバンドメンバーやスタッフへ丁寧に感謝の想いを伝えた。そして、深淵なバラード「余薫」を披露。ラストの美麗なフェイクは思わず息を呑むほどの気迫だった。最後に、再びゲストの2人をステージに迎え、今回の集大成として3人で「ギャラリー」を歌い届けた。名古屋公演、大阪公演にて2人で披露したことはあったが、3人で歌うのは今回が初めて。それにもかかわらず息のぴったりあったマイクリレーとコーラスワークを響かせ、ラストは3人で一つのお立ち台に集まりお互いに向き合いながら渾身の熱唱を轟かせてみせた。最後は、バンドメンバーを一人ずつ紹介した後、いゔどっとが「そして、Souちゃんがいました、本当は!」と付け加え、改めて、あげいんと橘優への感謝を伝えてステージを去っていった。Souの出演キャンセルは非常に残念ではあったが、総じて、今回の公演は、ゲスト2人の力によって、この日だからこその特別なステージになったと思う。
Text by 松本侃士
Photographer 森好弘
▼セットリスト
1.ぶっ壊してよ
2.佰⻤園
3.夜咄ディセイブ
4.⽉⽇記
5.Booo!
6.愚者のパレード
7.ロキ
8.ラブヘイトマジョリティ[あげいん]
9.ラヴィ [あげいん]
10.Shadow Shadow [橘優]
11.ナイトルール [橘優]
12.マーシャル・マキシマイザー
13.ジェニ
14.ダーリン
15.a lot of love
EN1 ブロードウェイ
EN2 余薫
EN3 ギャラリー [3人で]